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Society for Advancement of Management

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国際賞受賞者スピーチ

「The Taylor Key Award」受賞 立石信雄名誉会長

本会の名誉会長である立石信雄オムロン株式会社相談役が、SAMの国際賞「The Taylor Key Award」を受賞され、2007年3月25〜28日にラスベガスで開催されたSAM国際大会において受賞記念講演を行われました。
「The Taylor Key Award」は、科学的管理法の父、テイラーを永遠に記念するために創設されたもので、企業経営やマネジメント理論の研究開発に顕著な貢献をした経営者、科学者、学者、コンサルタントに贈られる最も名誉ある賞です。SAMの約80年の歴史の中で、この賞を受賞された方々は50名程度ですが、受賞者リストには、P.F.ドラッカー、W.E.デミング、R.C.マクナマラなど著名人が名を連ねており、まさに「マネジメントのノーベル賞」と呼ぶにふさわしい栄誉ある賞です。
こちらでは、立石信雄名誉会長の、国際大会での受賞スピーチをご紹介いたします。


The Taylor Key Award 受賞スピーチ

SAM日本チャプター名誉会長
オムロン株式会社相談役
立石 信雄

Abdelsamad理事長、ご丁寧な紹介、ありがとうございます。みなさま、こんにちは。SAM日本チャプター名誉会長、オムロン相談役の立石でございます。このたびは「The Taylor Key Award」というたいへん名誉な賞を頂戴し、たいへん光栄に存じております。
受賞された方々のお名前をみると、私ども経営者の世界でもあまりに著名な方ばかりなので、まさか私がいただけるとは、身に余る光栄であり、推薦者のお力があってこそと感謝しております。
私が相談役を務めますオムロンは、1955年頃から現在の主力事業である制御機器の製造を始めました。それは、当社の創業者がテイラー氏の科学的管理法を初めて日本に紹介した上野陽一先生を団長とする米国視察団に参加したことが大きなきっかけだったわけですが、これも何かの縁であると感じております。

そこで、まずオムロンについて簡単にご紹介いたします。売上高はグループ連結で2005年度で約54億ドル、社員はグローバルで約2万7000人です。事業内容は、工場などの生産設備で使われる制御システム事業が全体の46%、家電や通信機器などのさまざまな電子機器に組み込まれている電子部品事業が16%、その他自動車の電装品事業、駅の自動券売機や改札機などの社会システム事業、そして、コンシューマー製品として電子体温計や血圧計などの健康機器など、幅広い分野で事業をしています。米国にはシカゴに主な拠点をおき、社員は1300人ほどです。
次にSAM日本チャプターについて紹介させていただきます。日本でのSAMの活動は、先ほどご紹介した上野陽一先生によって1925年に始まりました。現在では、会長の小林薫先生のリーダーシップのもと、東京や大阪などの主要都市に支部を置き、支部ごとの例会や研究会を開催して会員相互の交流と啓発を深めています。年次大会や会報『SAM NEWS』の発行、WEBサイトの運営も行っており、米国以外のSAMとしては最大の100名以上の会員規模で活発に活動しています。

さて、多少自己紹介の意味も込めまして、私自身のこれまでの経営者としての活動を簡単に振り返りたいと思います。私は1959年に日本の古都・京都にある同志社大学英文科を卒業し、オムロンに入社しました。1961年から2年間はニューヨークのコロンビア大学経営大学院に留学し、その後はオムロンの海外事業を中心に担当してきました。
米国、欧州での事業を私が責任者を務めた海外事業本部で推進し、その過程で米国での研究開発拠点の設立や企業の買収にも携わりました。また、代理店制やOEM取引を積極的に活用してオムロン製品の米国市場への浸透にも努力しました。
その後、米国内での事業量が拡大した段階では販売子会社を設立し、私自身がシカゴの販売子会社の社長として米国に駐在したこともありました。1960年代半ば頃の当社の海外売上高は7億円ほどでしたが、2005年には2719億円になり、オムロンの事業全体の43%に達しています。

当社の海外事業拡大に力を注ぐ一方、私は早くから社外で産業界や社会の諸課題を解決するための活動を始めました。オムロンには「企業は社会の公器である」という経営の基本的な考え方があります。企業は社会の中の公の存在であり、自らの事業利益のみを追求するのでなく、社会全体を良くする(Overall betterment of society)ために存在するという考え方です。そして、「われわれの働きで われわれの生活を向上し よりよい社会をつくりましょう」という社憲の形にして全社員で毎朝唱和し、その理念を共有しています。また、「利潤」とは、企業が提供する財やサービスをお客さまが評価してくれた結果、その企業がさらに成長するための「原資」として与えられるものだと考えています。私自身もオムロンの経営だけでなく、経営者として培ってきた知識や経験を産業界や社会全体の発展に活かすことに注力しました。
例えば、日本にはシンクタンクに政府への政策提言機能を加えた団体として、経済団体と呼ばれる団体がいくつかありますが、その一員として企業におけるグローバルな人材育成を活性化させるための調査や提言、WTOやFTAなど自由貿易を促進するための政府への働きかけを行いました。また、労働問題を扱う国連の関連機関・ILOの総会に毎年、日本の経営者代表として参加し国際的な労働事情の改善に向けて意見提言を行っています。また、1996年から2年間、OECDのコーポレートガバナンスに関する民間諮問委員会の委員として、OECDで初めてのコーポレートガバナンス原則の策定に関わりました。さらに、政府の審議会の委員として、国の予算編成に対して民間の立場から意見を述べたり、人権擁護のあり方を議論するといった活動にも参画しました。
そして、最近では日本バリューエンジニアリング(VE)協会の会長として日本産業の競争力の強化に努めました。当初は日本の主要産業である製造業で活用されましたが、現在は建設業や医療分野、さらに政府機関でも活用が進んでいます。
このように経営者としての活動に加え、実に多岐にわたる分野の活動に携わり、常にグローバルな視野を持つ機会に恵まれました。そしていま、これまでの経験も踏まえ、私がもっとも力を注いでいるテーマが企業の社会的責任(CSR)です。

企業は社会の主要な構成員であり、社会的な責任を果たすべきであるという認識が、いまやグローバルに高まってきています。とくに多国籍企業が社会や環境に与える影響はますます大きくなってきている中で、株主も消費者も企業を見る目はたいへん厳しくなり、いまや企業が不祥事を起こしたら、その存続を問われるような事態に陥ります。米国では、エンロンやワールドコムによる巨額の不正会計事件は衝撃的な事件としてまだ記憶に新しいと思います。
CSRへの関心の高まりにともない、企業の財務内容だけでなく、環境対策や人権問題への対応など、企業の社会性に着目して投資を行う「社会的責任投資(SRI)」という動きも出てきています。さらに、CSRに関わる国際基準や規格、行動原則、ガイドラインなどが相次いで制定されており、ISOでもあらゆる組織を対象とした社会的責任ガイダンスの策定が進められています。

私が企業の社会的な責任について取り組むようになったのは、実はCSRへの関心が高まるずっと前の80年代後半頃からです。当時は日米の経済摩擦や投資摩擦が激化する中、米国民の対日感情は悪化し、“ジャパンバッシング”という現象がおきていました。日本製乗用車をハンマーで叩き潰す過激なパフォーマンスがテレビで放映されたのは、とても衝撃的で忘れることができません。
こうした中、日本企業と進出先地域社会とのより良い関係構築のために、1989年に日本最大の経済団体である経団連の姉妹団体としてCBCCが設立されました。副会長となった私は訪米ミッション団長として91年から6年間で米国21州を巡り、地方政府や企業、大学やNGOとの対話を重ね、企業がよき企業市民として地域社会と良好な関係をつくるにはどうすべきかを学びました。
私がCBCCの会長になった2000年以降はアジア諸国との交流に力を入れています。とくに経済発展著しい中国には毎年ミッションを派遣し、政府関連機関やCSR関連の国際団体、中国に進出している欧米企業と意見交換を行っています。
さらに、中国の将来を担う若者たちにも日本企業や経済・経営について理解を深めてもらおうと、北京大学や復旦大学など中国の主要大学で顧問教授として特別講義を1994年以来毎年行っています。

いまや企業が主体的にCSRを意識した取り組みを行う動きが少しずつ出てきています。それは単なる寄付や社会貢献活動への協賛にとどまらず、法令順守の環境保全への取り組みから、自社の事業そのものを通じて持続的に社会へ貢献していく動きに向かっています。
私はひとりの経営者として、企業という組織が持つ潜在的な力を信じ、その活動を通じて「よりよい社会づくり」の精神を実践していきたいとの思いを持ち続けてきました。そして、最近のCSRへの関心の高まりとともに、私と同じような思いや志を持つ人たちの輪が少しずつ広がりつつあることを感じています。今回、The Taylor Key Awardをいただいたことを励みに、今後とも企業経営を通じた社会発展への貢献という活動の輪が広がるよう、微力ながら活動を続けてまいりたいと思います。
ありがとうございました。

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